ヒヤシンスの香り分析
ヒヤシンスの花言葉弊社スタッフが愛情込めて育てたヒヤシンスからとても良い香りが漂ってきましたので、どんな香り成分が放たれているのかを分析してみることにしました。ヒヤシンスと言えば「悲しみを超えた愛」という花言葉を持ち、名前の由来とともにギリシャ神話に由来する悲劇が背景にあるようですね。爽やかな香りからは想像が出来ませんが面白いものですね!
Analytical Method!
色々と考えてみましたが、試験室内空気をビニール袋で遮断したうえでヒヤシンスの花冠部とビニールで覆った部分(内部)の空気から香り成分を捕集する方法にしました。
図1 実験方法の模式図
花冠部に装着した吸着ディスク(図2~3)に香り成分が吸着しているので、これを抽出してガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)という分析装置で分析を行いました。
図2 花冠部からの香気成分採取(ピンク) ※黒いディスクが吸着材
図3 花冠部からの香気成分採取(白) ※黒いディスクが吸着材
36種類の香気成分
分析結果を解析してみると36種類の香気成分が見つかりました。また、当然と言えば当然ですが、花冠部から捕集された量と空気から捕集された量に違いがありました。この違いは一定の比率では無く、成分によってばらつきがありました。つまり、直接花冠部を嗅いだ場合の香りと花の周辺を漂う香りの感じ方が異なるのでは?ということです。それから、花の色(今回は白とピンク)でも放たれる香り成分の組成と量は異なるようです。同じ花なのに不思議ですね!
図4 ヒヤシンスの香気成分分析結果
インドールという成分
さて、今回分析して検出された成分の中にインドールという成分がありました。なんとこのインドールは単体だと便臭がするのです!インドールは変わった成分で濃度によって感じ方が変わります(他の成分も同様のものがある)。実際、ジャスミンの香気成分にも含まれます。単体では悪臭のイメージがありますが、繊細な花の香りを構成する大切なエッセンスになっていることがわかります。
花の香りは面白い
花の香り成分については様々な知見が得られているので真新しい発見はないのですが、改めて実際に分析してみるととても面白いことに気づきました!特に構成する成分については普段日用品で模擬されているものとは比較にならないほど多くの種類で構成されていて繊細さを再認識いたします。可能であればシリーズ化したいなと思っています。