有効成分 塩化ベンザルコニウムって?
消毒液を探していると、成分表示欄に「有効成分 塩化ベンザルコニウム」と記載されているものがあります。ノンアルコール系の除菌シート等にも使われていたりします。
今回は「有効成分 塩化ベンザルコニウム」についてまとめてみました。
有効成分ってそもそもなんのこと?
有効成分とは、医薬品や医薬部外品に含まれる成分のうち、目的の効果に対して有効に作用する成分のことです。
効果効能を謳えるのは医薬品・医薬部外品のみ、と「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)で定められているので、それ以外の雑貨品としての消毒液やグッズに「有効成分」と表記することはできません。
塩化ベンザルコニウムってなんだろう?
塩化ベンザルコニウムは陽イオン界面活性剤の一種で、逆性石鹸や陽性石鹸とも呼ばれます。手指、器具消毒など外用殺菌・消毒剤に用いられます。身近なものだとコンタクトレンズ溶液や目薬に防腐剤として使用されています。
ベンザルコニウム塩化物とも呼ばれます。
殺菌・消毒作用のメカニズム
塩化ベンザルコニウムは菌の細胞膜を壊したり、細胞のタンパク質を変性させることで殺菌・消毒します。また、アルコールは蒸発した時点で効果が無くなるのに対し、塩化ベンザルコニウムはしばらく手に留まるので効果が長持ちします。
殺菌・消毒効果
塩化ベンザルコニウムは一般細菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等)や酵母様真菌(腸管出血性大腸菌等)に効果があります。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌とは抗生物質に耐性を持った黄色ブドウ球菌のことです。黄色ブドウ球菌は皮膚等の常在菌ですが体の抵抗力が落ちると様々な感染症の原因となります。治療には抗生物質が使用されますが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は治療するための抗生物質に耐性を持っているため治療が進まず重症化してしまうことが多いので、健康を維持したり塩化ベンザルコニウム等の効果のある消毒液で予防することが大切です。
また、(独)製品評価技術基盤機構の検証試験では0.05%以上で新型コロナウイルスにも有効であることが確認されています。(1)(2) 試験結果によると0.05%の塩化ベンザルコニウムを1分間作用させると約10,000個のウイルスがほぼ完全に消毒され、ウイルスの増殖は認められなかったとのことです。
しかし結核菌等の一部の菌やウイルスには効果が無いと言われているので、塩化ベンザルコニウム単体の消毒液を使用する際は注意してください。
使用方法
塩化ベンザルコニウムが0.05%~0.1%含有している消毒液を手に取り1分間よく揉みこみます。塩化ベンザルコニウム単体の消毒液の場合は揉みこんだ後に綺麗な布等で拭き取ってください。
石鹸で手洗いをしてから使用すると効果的ですが、陽イオンという性質上、一般的な普通の石鹸(陰イオン)と混ざると効果が薄れますのでよくすすいだ後、手を拭いてから使用してください。
※手指・皮膚消毒用の塩化ベンザルコニウム濃度は0.05%~0.1%です。濃度が高いと炎症を起こすことがあります。そのため粘膜や傷口等使用する対象部位によって用法容量が違いますので注意しましょう。
アルコール消毒液の推奨濃度は70%ですが、厚労省は60%台でも差し支えないとしています。(3) したがって塩化ベンザルコニウム0.05%を含んだアルコール60%以上の消毒液を使用すれば、塩化ベンザルコニウム単体の消毒液だと効果の薄いインフルエンザやノロウイルス、結核菌にも有効ですし、アルコール単体の消毒液よりも効果の持続性があります。
AIREXオンラインショップへ
(1)…経済産業省「新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第二弾)
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200529005/20200529005.html
(2)…新型コロナウイルスを用いた代替消毒候補物資の有効性評価にかかる検証試験の中間結果について
https://www.nite.go.jp/data/000109502.pdf
(3)…厚労省「新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)」問23
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00004.html#Q22